후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 176,911자 · 353화면
紀伊守之助は、備え場から二町もあとへ退がって、そばを見ると、梶浦兵七郎ひとりしかそばにいない。
「兵七。弟は」
「三左様も、血路をひらいて、遠くへ、お立ち退きとおもわれます。あなた様も、おはやく」
「いや、わしはなお、父上の先途を見とどけねばならぬ。父上はいかがなされたやら」
かれはもう一軍の将であるよりも、ひとりの人の子だった。兵七郎の止めるもきかず、また引っ返して、父の陣地の山へ、登って行った。
ちょうどその時、勝入の首を上げた一群の味方とわかれて、ひとり降りてきた徳川家の安藤彦兵衛と、ばったり出会った。
道は急な山腹であった。
おうっと、上から叫び、おうっと下からも叫んだ。相見たとたんに、こう二人の槍は、からみ合って、すさまじい一旋風を巻いてたたかったが、紀伊守之助のほうは、当然、その地の理からも、不利をまぬかれず、彦兵衛の槍の下に、ことし二十六歳の若い命を、あえなく、朱のよろいにつつんで、最期をとげてしまった。
彦兵衛は、首級をかかえて、
「紀伊守を討ったる者、安藤彦兵衛直次ッ」
と、躍るがごとく、駈け去った。
之助の家臣、梶浦兵七郎は、その敵を、追いかけにかかったが、届かないため、槍を抛り投げた。