후리가나로 읽는 일본 고전
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しんのあいこくしん
新渡戸稲造論集
新渡戸 稲造
新渡戸 稲造의 新渡戸稲造論集(しんのあいこくしん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 94,620자 · 196화면
要するに道徳の元は父に対する孝である。夫婦のためには友である。此処が今日お話しようとする題目なのだ。
勿論人類社会には友誼という者があるがこれは畢竟するに道徳進化の最初の徳である。最もプリミティーブな元始的な道徳である。故に人は何処までも社交的性質のもので友なくては生存するわけには行かぬ。昔しロビンソン、クルッソーという物好き男がいて淋しい孤島に人間がいないので遂には犬を友人に貰った。また鸚鵡を友として僅に心の寂寞を慰めた。ロビンソンに限らず総ての人類がそうなのだ。牢獄の暗黒界にただ一人淋しく禁錮せられた可憐児は如何する。ロシアではこの種の物語はいくらもあるが或る国事のために奔走した者が政府の諱忌に触れて牢屋にぶっこまれた。厚い五、六尺もあろうと思われる壁の中に――真暗な咫尺も弁ぜぬ――獄舎の中に何年何十年と捕われていた時に彼は何を友としたか。暗闇にちょろちょろ出てくる鼠を友人としたのだ。自分の生命を支うるに足らぬ粗末な黒パンの一片を割いて鼠に与えて手なずけるのだ。こんな風で十年二十年の後牢屋を出て世の中に来ると全く言語も忘れ口も動かなかったとは彼の地の歴史に能く記してあることだ。