후리가나로 읽는 일본 고전
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
林 芙美子의 新版 放浪記(しんぱん ほうろうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 247,330자 · 497화면
縁側で涙をくくみながらよばれていると、荒れた水田の小道を、なつかしい顔が帰って来ている。
私を見ると、気の弱い男は驚いて眼をタジタジとさせていた。
「当分は、一人で働きたいと云っとるんじゃから、帰ってもおこらんで、気ながに待っておって下さい。何しろあいつの姉の云う事には、一軒の家もかまえておらん者の娘なんかもらえんと云うのだから……」
お父さんの話だ。あのひとは沈黙って首をたれていた。――どう煎じ詰めても、あんなにも勇ましいと思っていた男が沈黙っていて一言も云ってくれないのでは、私が百万べん言っても動いてくれるような親達ではない。私は初めて空漠とした思いを感じた。男と女の、あんなにも血も肉も焼きつくような約束が、こんなにたあいもなく崩れて行くものだろうかと思う。私は菓子折をそこへ置くと、蜜柑山に照りかえった黄いろい陽を浴びて村道に出た。あの男は、かつてあの口から、こんなことを云ったことがある。
「お前は、長い間、苦労ばかりして来たのでよく人をうたがうけれども、子供になった気持ちで俺を信じておいで……」
一月の青く寒く光っている海辺に出ると、私はぼんやり沖を見ていた。