일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

林 芙美子의 新版 放浪記(しんぱん ほうろうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 247,330자 · 497화면

아오조라 문고

ここまで取りに来なければ十円近くの金は、私が帳場に立て替えなければならないし、転んでも只では起きないカフエーのからくりを考えると厭になる。結局は客と女給の一騎打ちなのだ。ああ金に引きずりまわされるのがとても胸にこたえてくる。店の女達が、たかるだけたかっておいて、勘定になると、裏から逃げ出して行った昨夜の無銭飲食者の事を思うと、わけのわからないおかしさがこみ上げて来て仕方がなかった。

「代書へ行って届書をかいて来い、アーン!」

あぶくどもメ! 昨夜の無銭飲食者が、ここではすばらしい英雄にさえ思える。

代書屋に行って書いてもらったのが一時間あまりもかかった。茶が出たり塩せんべいが出たり、金を払うだんになると、二枚並べた塩せんべいの代金まではいっている。全く驚いてしまった。届書を渡して、引受人のような人から九円なにがしかをもらって外に出ると、もうお昼である。規律とか規則とかと云うものに、私はつばきを引っかけてけいべつをしてやりたくなった。

帰って帳場に金を渡して二階へ上ると、皆はおきて蒲団をたたんでいる処だった。掃除をすっぽかして横になる。五月の雲が真綿のように白く伸びて行くのに、私は私の魂を遠くにフッ飛ばして、棒のように石のように私は横になって目をとじているのだ。