후리가나로 읽는 일본 고전
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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
長谷川 時雨의 新編 近代美人伝 (上)(めいじびじんでん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 129,076자 · 256화면
大橋須磨子
霜月はじめの、朝の日影がほがらかにさしている。澄みきった、落附いた色彩と香があたりに漂い流れている。
朝雨にあらわれたあとの、すがすがしい空には、パチパチと弾ける音がして、明治神宮奉祝の花火があがっている。小禽が枝から飛立つ羽ぶきに、ふち紅の、淡い山茶花が散った。
今日中にはどうしても書いてしまわなければならないと思いながら、目のまえの一本か二本の草木をながめ、引窓からながめるような空の一小部分を眺めて、ぼんやりとしている。
けれど、秋の香は、いつまでわたしをそのままにしておかなかった。菊のかおりが、ふと心をひくと、頭の底の方で鼓の音が丁と響ききこえた。爽かに冴えた音は、しんと頭を澄ませてくれた。それにつれて清朗な笛の音も聞える。そして、湿やかに、なつかしみのある三味線の音もあった。
ごしゃごしゃと、乱れた想で一ぱいだったと思った頭のなかは、案外からっぽだったと見えて、わたしは何時かよい気持ちになって、ある年のある秋の日に、あの広々した紅葉館の大広間にいて、向うの二階の方から聞えてくるものの音に、しんみりと聞き耽けっていたのが、いま目前に浮びあがって、その音曲の色調を楽しみ繰出している――