후리가나로 읽는 일본 고전
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
横光 利一의 旅愁(りょしゅう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 576,941자 · 1138화면
実際矢代は、今は千鶴子のことも忘れようと努めていた。それはただ単に千鶴子のことだけではなく、見て来たヨーロッパのことも、出来れば頭の中から尽く消したかった。それはどういうわけか彼自身にもよく分らなかったが、考えて見ると、それは日本があまり小さい島に見え始めて来たことが原因のようだった。日本のことを思う度びにそんなに小さく見えて来ると、矢代は、誰からも聞かれぬように胸の奥でそっと「祖国」とこう小声でひとり呟いてみた。すると、胴のあたりから慄えるような興奮がかすかに背を走った。
しかし、また彼は、日本へ帰ってから人々の前で、
「祖国」
とこういう名前でうっかり日本を大きく呼んだりすれば、忽ち人人から馬鹿者扱いにされ、攻撃を受ける習慣のあるのもすぐ感じた。それも人人だけではなく、前には自分もそのような一人だったような気持ちもした。しかし、いったい何時の間に、誰がこんなにさせてしまったものだろう。矢代は窓から見えるソビエットの平原に向い、ひとりこういうときには胸の中で呟いた。「ね君、君はそれをよく知ってるだろう。誰が一番こんなにさせたかっていうことを。僕は今にどこの国の人間も、僕が君に云うように、誰も彼も云い出すときが必ずあると思っているよ。