후리가나로 읽는 일본 고전
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うえの
日和下駄 一名 東京散策記
永井 荷風
永井 荷風의 日和下駄 一名 東京散策記(うえの)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 33,955자 · 70화면
わたくしが折々小石川の門巷を徘徊する鳥さしの姿を目にした時は、明治の世も既に十四五年を過ぎてはいたが、人は猶既往の風聞を説いて之を恐れ厭っていた。今の世に在っては、鳥さしはおろか、犬殺しや猫の皮剥ぎよりも更に残忍なる徒輩が徘徊するのを見ても、誰一人之を目して不祥の兆となすものがあろう。わたくし等が行燈の下に古老の伝説を聞き、其の人と同じようにいわれもない不安と恐怖とを覚えたのは、今よりして之を顧れば、其時代の空気には一味の哀愁が流れていた故でもあろう。この哀愁は迷信から起る恐怖と共に、世の革るにつれて今や全く湮滅し尽したものである。わたくし等が少年の頃には風の音鐘の響犬の声按摩の笛などが無限の哀愁を覚えさせたばかりではない。夜の闇と静寂とさえもが直に言い知れぬ恐怖の泉となった。之に反して、昭和当代の少年の夢を襲うものは抑も何であろう。民衆主義の悪影響を受けた彼等の胸中には恐怖畏懼の念は影をだも留めず、夢寐の間にも猶忘れざるものは競争売名の一事のみである。聞くところによれば現代の小学生は小遣銭を運動費となして、級長選挙の事に狂奔することを善事となしているというではないか。