후리가나로 읽는 일본 고전
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あらの
曠野
堀 辰雄
堀 辰雄의 曠野(あらの)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,315자 · 21화면
男はこんなことで、心にもなく女とも別れなければならなくなる運命を考えた。
しかし、その儘女にも逢わずに月日が立つにつれ、もう忘れていてもいいはずのその女のことを何かのはずみに思い出すと、その女の、袖を顔にした、さびしい、俯伏した姿が前にも増して鮮明に胸に浮んで来てならなかった。そうしてとうとうしまいには、その女のそうしているときの息づかいや、やさしい衣ずれの音までがまざまざと蘇るようになり出した。
その春も末にちかい、或日の暮れがた、男はとうとう女恋しさにいてもたってもいられなくなったように、思い切って西の京の方へ出かけて往った。
其処いらは小路の両側の、築土も崩れがちで、蓬のはびこった、人の住まっていない破れ家の多いようなところだった。漸く以前通いなれた女の家のあたりまで来て見ると、倒れかかった門には葎の若葉がしげり、藪には山吹らしいものがしどろに咲きみだれていた。
「こんなに荒れているようでは、もう誰もここにはいまい。」男は心のなかでそう考えた。
おそらくその女も他の男に見いだされて余所に引きとられてしまったのだろうと詮めると、その女恋しさを一層切に感じ出しながら、その儘では何か立ち去りがたいように、男はなおあたりを歩いていた。