후리가나로 읽는 일본 고전
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ほんじょまつざかちょう
本所松坂町
尾崎 士郎
尾崎 士郎의 本所松坂町(ほんじょまつざかちょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 27,622자 · 55화면
「会えねえなんて、そげんなことがあってたまるかい、――藤やんはこっちを向いてニコリと笑ったのをお前も見たずら」
「おれ、もう涙が出て、人の顔もようわからんかった」
「藤やんだって、お前、きっと昔のことをおもいだすことがあるべえよ」
お絹は黙って母親の肩にもたれ、しくしくと泣いている。彼女の瞳の底に刻みつけられた凜々しく逞しい小姓の姿の中に、昨日までの藤作のおもかげは、もはや探るべくもなかった。
十日あまり滞留して、祖先の回向が滞りなく終ると、上野介の一行は江戸へひきあげていった。
一年が経ち、二年がすぎる。江戸からの消息は打ってひびくようにすぐ村へ伝わってくるが、吉良荘の人たちの注意は清水一学にあつまっていた。一学の噂になると、みんな眼の色を変え、固唾を呑み、呼吸をはずませる。
一学の人気は江戸の屋敷の中でも大へんなもので、彼はその頃、二刀流の剣士として盛名を謳われていた浦周之助の町道場にかよい、元禄九年には早くも免許皆伝をうけた。今や上野介の側近には彼の相手になれるものは一人もいない、――というような噂が伝わってきた。
事実、彼と山吉新八郎とは同じ左兵衛づきの中小姓であるが、小姓としての格と待遇は山吉の方がはるかに上であっても武芸においてはほとんど比較にならなかった。