후리가나로 읽는 일본 고전
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いなかがえり
林芙美子随筆集
林 芙美子
林 芙美子의 林芙美子随筆集(いなかがえり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 58,157자 · 118화면
――私は欧洲から帰って来ると、すぐまた戸隠山へ出掛けた。山で一ヶ月を暮らして帰って来ると、尾崎さんは躯を悪くして困っていた。ミグレニンの小さい罎を二日であけてしまうので、その作用なのか、夜になるとトンボが沢山飛んで行っているようだと云ったり、雁が家の中へ這入って来るようだと、夜更けまで淋しがって私を離さなかった。
眼の下の草原には随分草がほうけてよく虫が鳴いた。「随分虫が鳴くわねえ」と云うと、「貴女も少し頭が変よ、あれはラヂオよ」と云ったりした。私も空を見ていると本当にトンボが飛んで来そうに思えた。風が吹くと本当に雁が部屋の中に這入って来そうに思えた。ヴェランダに愉しみに植えていた幾本かの朝顔の蔓もきり取ってしまってあった。そんな状態で躰がつかれていたのか、尾崎さんはもう秋になろうとしている頃、国から出て来られたお父さんと鳥取へ帰って行かれた。尾崎さんが帰って行くと、「この草原に家が建ったら厭だなア」と云っていたのを裏切るように、新らしい三拾円見当の家が次々と建っていって、紫色の花をつけた桐の木も、季節の匂いを運んだ栗の木も、点々としていた桃の木もみんな伐られてしまった。