후리가나로 읽는 일본 고전
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
横光 利一의 機械・春は馬車に乗って(はるはばしゃにのって)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 77,492자 · 156화면
ナポレオンの田虫は頑癬の一種であった。それは総ゆる皮膚病の中で、最も頑強な痒さを与えて輪郭的に拡がる性質をもっていた。掻けば花弁を踏みにじったような汁が出た。乾けば素焼のように素朴な白色を現した。だが、その表面に一度爪が当ったときは、この湿疹性の白癬は、全図を拡げて猛然と活動を開始した。
或る日、ナポレオンは侍医を密かに呼ぶと、古い太鼓の皮のように光沢の消えた腹を出した。侍医は彼の傍へ、恭謙な禿頭を近寄せて呟いた。
「Trichophycia, Eczema, Marginatum.」
彼は頭を傾け変えるとボナパルトに云った。
「閣下、これは東洋の墨をお用いにならなければなりません」
この時から、ナポレオンの腹の上には、東洋の墨が田虫の輪郭に従って、黒々と大きな地図を描き出した。しかし、ナポレオンの田虫は西班牙とはちがっていた。彼の爪が勃々たる雄図をもって、彼の腹を引っ掻き廻せば廻すほど、田虫はますます横に分裂した。ナポレオンの腹の上で、東洋の墨はますますその版図を拡張した。あたかもそれは、ナポレオンの軍馬が破竹のごとくオーストリアの領土を侵蝕して行く地図の姿に相似していた。