후리가나로 읽는 일본 고전
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
横光 利一의 機械・春は馬車に乗って(はるはばしゃにのって)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 77,492자 · 156화면
波が白く部屋に対(むか)って線を引き細かい網目の綾(あや)をひろげているのが、長く月を忘れていた彼には思いもうけぬ慰みとなった。
「もう始まりますよ」
とヨハンがその時云った。
「何がです」と梶は訊ね返した。
ヨハンは音楽だと答えた。なるほど、部屋の下の道から、月の出るのを待ち構えていたのであろう。ダニューブの漣(さざなみ)の曲の合奏が始まった。彼はヴァイオリンの音を聞きながら、ヨハンの案内の仕方も手の込んだ劇を見せる変化に苦心を払っているのだと呑み込めた。漣の曲は対岸にある王宮の上から、月の高くのぼってゆくのに随って、次第に高潮し麗しさを加えていった。
「あれを弾(ひ)いているのはジプシイたちですが、あの中でも一番の名手らです」
とヨハンは説明した。音色に滴(したた)るような弾力があり脹(ふく)らみがあった。譜も見ず、ゆらめき出て来た月の真下で、彼等は露天にそれを仰ぎさざめく波に合せつつ弾くのだった。ヨハンは又ジプシイのこの仲間らが季節のまにまに、ヨーロッパの各地を流れ廻ってゆく生涯のことを話し、他の一切のことを考えず、ヴァイオリンのみを抱きかかえて死んで行く、彼等の宿命の愁(うれ)いや歓(よろこ)びを話したりした。