후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 146,773자 · 294화면
「邪はよこしま、念はおもいじゃ。よこしまなおもいと書いて邪念と読む。つまり迷いじゃな。人間はとかく自分に都合のよいことばかり考えて、怒ったり、悲しんだり、喜んだりする。それが迷いじゃ。心に迷いがあるとそれが絵筆に伝わって、自然に絵も下品になるのじゃ。」
次郎には、運平老の絵が上品だか下品だか、さっぱりわからなかった。学校の図画の手本のような美しい絵が描けないくせに威張っているな、という気が彼にはしていた。しかし、運平老の言った言葉は、べつの意味で妙に次郎の心にひっかかった。彼はきのうからのことを考え、「迷い」という言葉が何か自分に関係のあることのような気がしたのである。
「お祖父さんは、きょうは蘭ばかり描くんですか。」
恭一は運平老が今朝から描いたらしい何枚もの蘭の絵が、壁にピンでとめてあるのを見まわしながら、たずねた。
「うむ、今日は蘭じゃ。気持のいい蘭が出来るまでは、何枚でも描くのじゃ。」
運平老はそう言って、いま描きあげたばかりの、まだ墨の乾かない絵を、以前のと並べて壁にとめた。その前に坐って、しばらく一心に見つめていたが、
「うむ、うむ。」
と、一人で何度もうなずき、それから、また二人の方に向き直って、