후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 146,773자 · 294화면
それどころか、彼は、いわば、高く澄みきった暁の星を、咲きさかる紫雲英畑の中からでも仰ぐような気持で、二人の思い出にひたることが出来たのである。暁の星と紫雲英畑とは、もはや彼にとって同時に必要なものになっていた。暁の星だけでは、清澄に過ぎて寂しかったし、紫雲英畑だけでは、何か知ら心の奥に物足りなさが感じられた。彼は、この二つを同時に持つことによって、緊張感と幸福感とを共に味わいつつ、無意識のうちに、彼自身の魂を、永遠と現実との二本の軌道のうえに正しく転じはじめていたのである。
むろん、彼の周囲には正木一家のひとびとがいて、あたたかく彼を見まもってくれた。正木のお祖父さんは、やはり懐しくも怖くも思われる人だった。お祖母さんは母の死後いよいよやさしくなってきた。墓詣りのたびごとに、母の思い出を語り、ついでにお浜のことを言い出して、次郎を慰めるのは、いつもこのお祖母さんだった。次郎は、しかし、母の死後、この二人が目立って元気がなくなったように見えて、何となく淋しかった。
謙蔵夫婦や、従兄弟たちには、べつに変ったところもなかった。どちらかと言うと、次郎自身が彼らに対して不必要に気をつかったり、小細工をしたりしなくなっただけに、彼らの次郎に対する態度にも、一層こだわりがなくなって来たと言えたであろう。