후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 146,773자 · 294화면
ほかの児童たちは、もうその頃には、めいめい一本ずつの竹ぎれや棒ぎれを握って、ちゃんばらの真似をしたり、並木の幹や枝をなぐりつけたりしながら、歩いていた。先生は、それに気がつくと、だしぬけに例のどら声をはりあげて怒鳴った。
「おうい、默って立っている木をなぐるのは卑怯だぞうっ。」
「卑怯だぞ」というのは、先生の口癖だったが、次郎には、それがその時いかにも面白く響いた。で、つい笑顔になって先生の横顔を見上げた。先生の眼は、しかし、まっすぐに児童たちの方に注がれていた。
二人は、それからまたかなり永いあいだ口をきかなかった。
次郎は、児童たちのちゃんばらの真似から、ふと、大巻のお祖父さんに剣道を教わった事や、お芳を「母さん」と呼ぶようになったことなどを連想しながら、歩いていた。すると、先生は、ひょいと帽子の上から次郎の頭に手をあて、それをゆさぶるようにしながら、言った。
「本田はいろんな人に可愛がってもらって、仕合せだね。」
次郎は、これまで、自分で自分を仕合せな人間だと思ったことなど、一度だってなかった。また、周囲の人々にそんなふうに言われた覚えも、かつてないことだった。