후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 117,781자 · 235화면
彼は妙に気ちがいじみた眼を仙吉になげたあと、がくりと首をたれた。それから、よろけるような足どりで、ふらふらと表通りに出て行った。
彼の足は、ひとりでに町はずれの方に向かっていた。旧藩時代、城下の第一防禦線をなしていた、幅七八間の川に擬宝珠のついた古風な橋がかかって居り、その向こうは一面の青田である。次郎は、橋の袂まで来て、青田の中を真直に貫いている国道の乾き切った色を、まぶしそうに眺めていたが、そのまま橋を渡らないで、川沿いに路を左にとった。二丁ほど行くと、樟の大木に囲まれた天神の杜がある。彼はその境内にはいったが、社殿にはぬかずこうともせず、日陰を二三間あるいては立ちどまり、また二三間あるいては立ちどまりした。そのうちに、ふと何か思いついたように、本殿のうしろの、境内で最も大きい樟の木に向かってまっすぐに歩き出した。
この大樟の根元は、らくに蓆一枚ぐらい敷けるほどの楕円形な空洞になっている。近所の子供たちが、その中で、ままごと遊びなどをしているのを、彼はこれまでによく見かけていたのである。のぞいて見ると、いくぶんしめっぽそうに見えたが、十分ふみならされた枯葉が、ぴったり重なりあって、つやつや光っていた。