후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 117,781자 · 235화면
「先生、僕は春月亭のお内儀を女神にしようなんて、そんなことちっとも考えていなかったんです。僕は、ただ、僕の悪かったことをあやまろうと思っただけなんです。」
「ふむ――」
と、朝倉先生は、空になったコップの底を見入るように、しばらく眼をふせていたが、
「そりゃそうかも知れん。しかし、それでいいんだ。いや、それがいいんだ。そんなふうに自分を反省して、へり下る気持になることが、相手を清めることになるんだ。自分の力を信ずるといっても、自分が一段高いところに立って、人を救ってやるというような気持になったんでは、人を救うどころか、却って世の中をみだすだけだ。要するに人間はめいめいに真剣になって自分を磨けばいいんだよ。もともと、自信というのは、決して自分を偉いと思いこむことではなくて、自分を磨きあげる力が自分に備わっていると信ずることなんだからね。」
次郎は、かつて「葉隠」の中で読んだことのある、「人に勝つ道は知らず、我に勝つ道を知りたり」という剣道の達人の言葉を思いおこした。しかし、自分が自分をどんなに磨いても、その結果、春月亭のお内儀のような人間を少しでも美しくすることが出来ようとは、どうしても思えなかった。