후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 117,781자 · 235화면
「頑張れ!」
すると、つづけ様に二三ヵ所から同じような声がきこえた。
その声は、先生の興奮した耳にもたしかに這入ったらしかった。その証拠には、先生は、その声がすると、急に次郎を机から引きはなすことを断念し、その代りに、机もろ共、次郎をうしろから抱きかかえて、廊下に出し、戸をびしゃりと閉めてしまったのである。
次郎は、廊下に出されてからも、暫くは机の上に顔を伏せていた。涙は出なかった。しかし、涙以上のせつないものが彼の胸の底からわいて来るのを感じた。
彼はその感じで突きあげられたように、むっくり顔をあげた。そして長い廊下の端から端に視線を走らせた。どこにも人影が見えなかった、ただ、自分と自分の机だけがひっそり閑と立っているのが、彼には異様な世界のように思われた。
すぐ隣の教室からは、英語の斉唱の声がきこえ出した。しかし彼自身の教室は、気味わるいほど静まりかえっている。彼は、ぴったり閉まっている戸口にじっと眼をすえた。そして、自分はこれからどうすればいいんだ、と考えた。しかし、彼の考えはとっさにはまとまらなかった。何も自分に悪いことなんかありゃしない、堂々と教室にはいって行くんだ、とも考えられたし、また、はいって行くのがいかにも未練がましいようにも思えたのである。