후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 159,223자 · 320화면
口はほとんど利かなかった。ただ俊亮に対して、
「こんなにたびたび店をおあけになっては、あとでおこまりではありません?」と言った。それをきくと俊亮は、周囲の静かな空気に不似合な声で、大きく笑った。それは誰の耳にもわざとらしく響いた。しかし、お民はそれに対しても寂しく笑ったきりだった。
その後二日間は同じような容態がつづいた。そのうちに遠方の親類も来るものは大てい来た。広い正木の家も、さすがに、病室以外はそれらの人たちでごったがえしだった。謙蔵はふだんの無口にも似ず、ほとんど自分一人で、食事や夜具のことなどを、てきぱきと指図していた。次郎は食事のたびごとにその様子を見て、いつもの謙蔵とはちがった人のように感じた。彼にとって、謙蔵はもう決して不愉快な存在ではなかった。相変らず無愛想であったが、無愛想なままに次郎には何となく頼もしく思えた。
母の枕元に坐って、その死を予想する次郎の気持には、恭一や俊三とは比較にならないほど深刻なものがあった。しかし一方では、彼は不思議なほど落ちついていた。それは永らく母の病床に附添って、そうした気持を毎日くりかえして来たせいもあったが、もっと大きな理由は、彼が母の心をしっかりと握りしめているような感じがしたからであった。