후리가나로 읽는 일본 고전
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しょうたい
正体
山本 周五郎
山本 周五郎의 正体(しょうたい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 7,312자 · 15화면
――津川も立とうとしたが、佐知子が静かに見上げながら、
「津川さんはここにいらっしゃいましよ、あたくし独りじゃ寂しゅうござんすわ」
「じゃああなたもいらっしゃい」
「あたくしには画は分りませんわ、それになんだか杉田の画は怖くって……」
津川はそれでも押切って行くわけにもならぬので、云われるままに座り直した。
津川は黙って盃を執った、佐知子もしばらくは遠くの人声を聞いているようすだったが、やがてひどく調子の違った声で、
「六年になりますかね」
と云った。津川はその調子から、彼女が自分の眼を求めているのを知って、抑えきれぬ気持の乖離を感じながら頷いた。
「野村屋に泊ってらっしゃるんですってね」
「ええそう――」
「どのお部屋……?」
津川はぎくりとしながら初めて眼をあげた。彼女のようすは変っていた。さっきから二三杯、みんなの相手をしているので、眼蓋がうすく色づき、きっちりと帯を締めた豊かな胸もとは微かに波をうっている、瞳の輝きにも身がまえにも解放されたものがみえ、今はもうさきの夜津川を驚かせたあの近寄りがたい精気はなくて、かつて彼のまえに差伸ばされた佐知子の本当の姿が現れているのだ。