후리가나로 읽는 일본 고전
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かいじんにいのる
海神に祈る
田中 貢太郎
田中 貢太郎의 海神に祈る(かいじんにいのる)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 12,486자 · 26화면
権兵衛は新港開設の命を請けると、まず浮津川の川尻から海中に向けて堰堤を築き、港の口に当る処には、木材を立て沙俵を沈めて、防波工事を施すとともに、内部を掘鑿して、東西二十七間南北四十二間、満潮時に一丈前後の水深が得られるように計画して、いよいよ工事に着手したところで、沙の細かな海岸へ強いて開設する港のことであるから、思うように工事がはかどらなかった。
権兵衛は東側の堰堤を伝って突端の方へ往こうとしていた。その時五十二になる権兵衛の面長なきりっとした顔は、南の国の強い陽の光と潮風のために渋紙色に焦げて、胡麻塩になった髪も擦り切れて寡くなり、打裂羽織に義経袴、それで大小をさしていなかったら、土地の漁師と見さかいのつかないような容貌になっていた。
それは延宝七年の春の二時すぎであった。前は一望さえぎる物もない藍碧の海で、其の海の彼方から寄せて来る波は、どんと大きな音をして堰堤に衝突とともに、雪のような飛沫をあげていた。其処は左に室戸岬、右に行当岬の丘陵が突き出て一つの曲浦をなしていた。堰堤の内の半ば乾あがった赤濁った潮の中には、数百の人夫が散らばって、沙を掘り礁を砕いていたが、其のじゃりじゃりと云う沙を掘る音と、どっかんどかんと云う石を砕く音は、波の音とともに神経を掻きまぜた。