후리가나로 읽는 일본 고전
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しぶやけのしそ
渋谷家の始祖
宮本 百合子
宮本 百合子의 渋谷家の始祖(しぶやけのしそ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 68,023자 · 133화면
もう末枯(すが)れて、花もない園には、柔かい、お婆さんのような芝生が、淡黄く拡がって、横ぎる者を慰める。正隆は、その温順な芝生を心に描きながら、歩き出したのである。
ところが、狭い小使部屋の傍を抜けて、数十歩歩みを運んでいるうちに、正隆は、自分の目差していた方向に、思い掛けぬ独逸語の音読を聞いて、耳を欹(そばだ)てた。
重い、彼の国の巖のような発音が、足先をひやりとさせる清い、透明な空気の中に、高く響く。きっと学生が、こっそり予習でもしているのだろうと思いながら近寄って行った正隆は、案外、それは、垣内という、教師の一人の声だと知って、一層の好奇心を煽られた。そして、我知らずそこに立ち止まった。
年齢も彼とあまり違わない、正直な垣内を、正隆は、他の誰より、浅いうちにも深く交際していたのである。程度に於て、比較的親しいとはいいながら、まだ、一度もその垣内の読む独逸語を聞いたことのなかった彼は、丁度自信ある歌手が、後進の独唱を審判するような、愛と侮蔑の半ばした心持で耳を傾けた。
けれども、数句を聞いているうちに、正隆の唇は、自然と綻(ほころ)びて来た。