후리가나로 읽는 일본 고전
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おんしつのこい
温室の恋
国枝 史郎
国枝 史郎의 温室の恋(おんしつのこい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,010자 · 22화면
「何んて幸福そうに唄っていることだろう」斯う思った瞬間眼頭からヒョイと涙が出たらしい。そうして涙がこぼれると一緒に何うやらこんなように呟いたらしい。
「俺は福島を祝福する! どうしたって此町に住まないでは置かぬ!」
そうして実際、その時以来、私は福島に住むようになった。私は其時独身ではあったし、夫れに私の商売なるものが――商売というのも烏滸がましいが、売文に依って口過ぎを為し――それも通俗物の小説などで――生活を営んで居ったので、何処へ住もうと随意であった。住めば住む程福島という町は私の趣味にピッタリと適った何うにも離れ難無い町となって来た。その中に誰か彼か知己も出来て料理屋などとも懇意になった。
美満寿屋というのは表通の上町に出来ている飲食店であったが、主人というのが元を正せば洋服を着た方の種類の人物で、商人離れがしている上にお神さんというのが美濃産れの剛勢色っぽい別嬪だったので、素敵も無い繁昌を見せていた。郡役所、税務署の若い役人や山林学校の先生や林野管理局の若手連が倶楽部のようにして集まるので常時も其家は賑かであった。
いつか私も其美満寿屋の常連の一人に成っていた所が、大きい声では云われないが其処のお神さんのお寿賀さんに人知れず想いを焦してさえいた。