후리가나로 읽는 일본 고전
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みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
外村 繁의 澪標・落日の光景(みおつくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 130,889자 · 268화면
汗を拭っていては煩に堪えないので、私は原稿用紙の上に反故を敷いておく。蝉が鳴いている。
素子は蒲団の上に坐り、机に凭りかかって、スポーツ誌を読んでいる。その左手は丸太棒のように脹れ上ってしまった。皮膚の抵抗力も弱っているのか、その左手には、手の甲の上にまで汗疹が出来ている。軒端に吊した籠の中で、先刻からきりぎりすが鳴き頻っている。私の脳裏には夏草の長けた、妻の郷里の風景が頻りに想い描かれる。が、今年の夏も、妻の郷里を訪れるのは断念しなければなるまい。
素子は、雑誌を離し、右手を蒲団に突いて、倒れるように横になる。が、忽ち激痛に襲われるらしく、直ぐ起き上ってしまう。初めから駄目と判っていることである。それでも無性に横になりたいのだろう。
麻痺薬の袋の服用時は「疼痛時」となっている。しかしその乱用は勿論、厳禁されている。素子も強く自戒している。が、これ以上、私は見るに堪えない。
「母さん、もうそろそろ疼痛時にしないかね」
見ると、素子の顔に一筋の涙が伝い落ちている。素子は沈痛な口調で言う。
「どうしても、横になれないな。私って、それほど、悪いことを、した覚えもないのに、どうして、こんなひどい目に、遇わんならんのだろう」