일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ひにおわれて

火に追われて

岡本 綺堂

岡本 綺堂의 火に追われて(ひにおわれて)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,022자 · 10화면

아오조라 문고

なんだか頭がまだほんとうに落ちつかないので、まとまったことは書けそうもない。

去年七十七歳で死んだわたしの母は、十歳の年に日本橋で安政の大地震に出逢ったそうで、子供の時からたびたびそのおそろしい昔話を聴かされた。それが幼い頭にしみ込んだせいか、わたしは今でも人一倍の地震ぎらいで、地震と風、この二つを最も恐れている。風の強く吹く日には仕事が出来ない。少し強い地震があると、またそのあとにゆり返しが来はしないかという予覚におびやかされて、やはりどうも落ちついていられない。

わたしが今まで経験したなかで、最も強い地震としていつまでも記憶に残っているのは、明治二十七年六月二十日の強震である。晴れた日の午後一時頃と記憶しているが、これも随分ひどい揺れ方で、市内に潰れ家も沢山あった。百六、七十人の死傷者もあった。それに伴って二、三ヵ所にボヤも起ったが、一軒焼けか二軒焼けぐらいで皆消し止めて、殆ど火事らしい火事はなかった。多少の軽いゆり返しもあったが、それも二、三日の後には鎮まった。三年まえの尾濃震災におびやかされている東京市内の人々は、一時仰山におどろき騒いだが、一日二日と過ぎるうちにそれもおのずと鎮まった。