후리가나로 읽는 일본 고전
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ちち
父
矢田 津世子
矢田 津世子의 父(ちち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 19,168자 · 38화면
これは、父が自分の老齢を気付かっての万一の時の用意と思われる。ここ一、二年は戦時景気で父の鉄工所は好調を示しているので子供たちへの分配高もだんだんにのぼってきている。父はずっと前から自分の世話をしてくれるものに三万円を残してやりたいと姉には洩していた風であったが、今年は子供たちと一緒におきえさんも呼ばれて更めて父からこの話をきかされた。それがどこから飯尾さんの耳へはいったのか、「おきえさんは果報なかたですねえ」と探るように姉や紀久子へ話しかけてくるのだった。それでなくともこの元旦のひと時は飯尾さんにとっては一年中での緊張の極点であったらしい。何かしら落付きがなくなり、用ありげに茶の間と厨の間を往き来しながら居間の気配に聞き耳を立てている様子であった。そして、父の居間から出てきた姉や紀久子をもの問いたげな眼つきでちらちらとみやるのだった。飯尾さんにしてみれば、もうこの家の人も同然な自分にも何分の御沙汰があってしかるべきものを、と心待ちにしているのも無理からぬことであろう。年取るにつれて身寄りのない孤独感が迫れば迫る程金に執着していく飯尾さんの気もちが紀久子には分らぬではなかったが、それへ同情する心の動いてこないのをどうしようもなく思うのである。