후리가나로 읽는 일본 고전
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いぬのはじまり
犬のはじまり
宮本 百合子
宮本 百合子의 犬のはじまり(いぬのはじまり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 3,886자 · 8화면
家の側もすぐ隣は相当な植木屋つづきの有様であった。裏は、人力車一台やっと通る細道が曲りくねって、真田男爵のこわい竹藪、藤堂伯爵の樫の木森が、昼間でも私に後を振返り振返りかけ出させた。
袋地所で、表は狭く却って裏で間口の広い家であったから、勝ち気な母も不気味がったのは無理のない事だ。又実際、あの頃は近所によく泥棒が入った。私の知って居る丈でも二つ位の話がある。けれども、其等の事件のあったのは、白の居る頃だったろうか、或は死んでからのことであったろうか。
動物に親しみやすい子供の生活に、これぞと云う楽しい追想も遺して行かなかったことを見ると、白は、当時の私共の生活のように寂しい栄えないものであったと思われる。健康な、子供とふざけて芝生にころがり廻る幸福な飼犬と云うよりは、寧ろ、主人の永い留守、荒れ生垣の穴から、腰を落して這入る憐れな生物と云う方が適当であったらしい。
犬殺しが来た。荷車を引いて、棍棒を持って犬殺しが来た、と、私共同胞三人は、ぞっとして家の中に逃げ込んだものだ。
白が死んだのは犬殺しに殺されたのか、病気であったのか。今だに判らない。きいて見ても母さえ忘れて居る。