후리가나로 읽는 일본 고전
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りょうしょくのはて
猟色の果
野村 胡堂
野村 胡堂의 猟色の果(りょうしょくのはて)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 2,611자 · 5화면
二十八歳になったばかりの、充分に健康で、思い切り冒涜的で、そしてかなり不人情でさえあった宗三郎は、何時の間にやら温かい部屋を抜出し、庭下駄を突っかけたまま、夢心地に深い雪を踏みわけて、女の側に立って居りました。
近寄ると、体温をさえ感じさせます。いやそれどころでなく、女は寒さのためか、それとも心の動揺のためか、小刻みな胴ぶるいをさえして居るのでした。
が、その端麗な美しさは、寒さも怪奇な事情をも超えて宗三郎を驚かしました。左半面しか見せない女は、――雪を払うた庭石の上に立って、雪見灯籠にもたれたまま、凍え死にかけて居るにも拘らず、その曲線の美しさを燃焼させて、宗三郎の理性を滅茶滅茶にするだけの力はあったのです。
宗三郎は矢庭に女に飛付くと、庭石から引おろすように、自分の胸に犇と抱きしめました。無抵抗に宗三郎の腕に倒れた女は、宗三郎の近づく顔の前に、始めてその右半面を見せたのです。
「あッ」
宗三郎は飛退きました。始めて見た右半面は、左半面の玲瓏とした美しさに似ず、赤黒く焼け爛れて、見る眼も恐ろしい引釣りだらけの顔だったのです。
「あ、お絹」
宗三郎は雪の中を這い廻り乍ら、辛くもうめき声をあげました。