후리가나로 읽는 일본 고전
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
宮本 百合子의 獄中への手紙(ごくちゅうへのてがみ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 215,557자 · 426화면
古い城と云えば、大抵茶っぽい石でたたまれているのにその小じんまりとした城は白い石でつくられていて、円柱がどっさりあって、どうしても戦いの砦のために築かれたものとは見えません。
山と谿谷の自然の抑揚の中に、一つのアクセントとして、或はその起伏を最もたのしむよりどころとして、寛闊に、音楽的に建てられたものらしく思えます。不思議なことに、その城にも人が住んでいません。白い円柱の列や滑らかな曲線の床を照らすのは、やはり太陽と月とであり、そこをめぐって吹くのは風ばかりです。
とは云うもののこの城に人が住んでいないというのは本当でしょうか。何故なら、城の隅から隅まで一ところとして無住の荒廃は認められません。手入れがゆきとどいているような艷が谿谷を見おろすテラスにも、円屋根のあたりにも漂っていて、古びたおもかげはなく、たとえば、城そのものが自身の白さや滑らかさやを養う力を自分のうちにたくわえているか、さもなければ、ここにふる夜毎の露に特別な恵みがこめられていて、いつもそれを新しさで濡らすかのようです。こうして、静かな時の中を山と谿谷と白い城とは不思議な呼吸をつづけて居りました。