후리가나로 읽는 일본 고전
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 玉藻の前(たまものまえ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 130,703자 · 261화면
池は年を経て、その水は蒼黒く淀んでいるのが、この頃の雨に嵩を増して、濁った暗い色が汀までひたひたと押し寄せていた。あやめや、かきつばたはその濁った波に沈んで、わずかに藻の花だけが薄白く浮かんでいるのが、星明かりにぼんやりと見えた。女はまず北に向かって一つの大きい星を拝した。ほかの星の赤いなかに、その星一つは優れて大きく金色に輝いていた。それは北斗七星というのであろうと小雪は思った。
女はその星をしばらく拝していたが、やがて向きを変えて池の汀にひざまずいた。彼女は左の手で長い袂をおさえながら、夜目にも白い右の手をのばして池の玉藻をすくっているらしかった。好奇心はいよいよ募って、女の童は息もせずに見つめていると、女はやがてその青い藻を手の上にすくいあげて、しずくも払わずに自分の頭の上に押し頂いた。
藻をかつぐのは狐である――こういう言い伝えを彼女は知っていたので、小雪は俄に怖ろしくなった。すくんだ足を引き摺りながらそっと引っ返そうとした時に、女のひかりは吹き消したように消えた。
「小雪か」と、暗いなかで女の涼しい声がきこえた。それは確かに玉藻の声であった。