후리가나로 읽는 일본 고전
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ことのそらね
琴のそら音
夏目 漱石의 琴のそら音(ことのそらね)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 20,985자 · 42화면
「なにあとで戦地から手紙が来たのでその顛末が明瞭になった訳だが。――その鏡を先生常に懐中していてね」
「うん」
「ある朝例のごとくそれを取り出して何心なく見たんだそうだ。するとその鏡の奥に写ったのが――いつもの通り髭だらけな垢染みた顔だろうと思うと――不思議だねえ――実に妙な事があるじゃないか」
「どうしたい」
「青白い細君の病気に窶れた姿がスーとあらわれたと云うんだがね――いえそれはちょっと信じられんのさ、誰に聞かしても嘘だろうと云うさ。現に僕などもその手紙を見るまでは信じない一人であったのさ。しかし向うで手紙を出したのは無論こちらから死去の通知の行った三週間も前なんだぜ。嘘をつくったって嘘にする材料のない時ださ。それにそんな嘘をつく必要がないだろうじゃないか。死ぬか生きるかと云う戦争中にこんな小説染みた呑気な法螺を書いて国元へ送るものは一人もない訳ださ」
「そりゃ無い」と云ったが実はまだ半信半疑である。半信半疑ではあるが何だか物凄い、気味の悪い、一言にして云うと法学士に似合わしからざる感じが起こった。
「もっとも話しはしなかったそうだ。黙って鏡の裏から夫の顔をしけじけ見詰めたぎりだそうだが、その時夫の胸の中に訣別の時、細君の言った言葉が渦のように忽然と湧いて出たと云うんだが、こりゃそうだろう。