후리가나로 읽는 일본 고전
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とざんはぼうけんなり
登山は冒険なり
河東 碧梧桐
河東 碧梧桐의 登山は冒険なり(とざんはぼうけんなり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 4,375자 · 9화면
天候が変った。少し急ごう。いつの間にか我らも雲中の人になって、殆ど咫尺を弁ぜぬ濃霧だ。風が募って笠も胡蓙も吹き飛ばす。ザアーと大粒の力強い雨だ。
立山サラサラ越えの黒百合の伝説は、昔物語として一笑にしていたが、黒百合の怨霊、其の山荒れ、今覿面に、我らの頭上に降りかかって来たのだ。ただの山荒れでない恐怖も手伝って、前途は尚更ら暗澹戦慄。
何しろ着替一枚も持たない浴衣はビショ濡れ、雨の洗礼を全身に受けた聖者の姿、逃避しようにも見透しはきかず、寒くて寒くてじっとしては居れず、其の中ゴロゴロ雷は鳴る霰も交って矢のように打ちつける。正に天柱砕け地軸折るるかの轟音。えらい事になった、こんな時狼狽えるではない、と言っても別に心の落著けようもないのだ。私は、僅に脚もとだけ届く私の視野、そこには人の歩いた跡の自ら道になっている痕跡をたどって、一気に突進する外はなかった。ままよ、運を天に任して。いつか案内者にも、連れの男にもかけ離れてしまった。時々「オーイ」と呼んで見るが、それらしい返事もしない。
荒れ狂っている大自然と、孤軍奮闘する私であった。
この足跡が果して白山頂上への道なのか、それとも? 私は急に胸騒ぎをさえ感じながら、と言って、外に踏むべき道はないではないか?