후리가나로 읽는 일본 고전
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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
戸坂 潤의 社会時評(しゃかいじひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 195,408자 · 380화면
たのだが、シンガポール在住の邦人有力者達は是非行けというし、庭球協会からもどうしても行けという命令が来たので、遂々意を飜して再び船の上の人となったのだそうだ。月明りのマラッカ海峡が自分の最後を待っていることを、彼自身その時知っていたかいなかったか、それは想像の限りではない。
彼は今度ですでに四度目のデビスカップ戦に行く処だった、現に昨年の秋デビスカップ戦を済まして帰って来たばかりだ。だから文部省の留学生のように郷愁に襲われるような柄ではない。けれども同行の西村選手からの電報によると、彼の脳中には何かある邪念が巣くっていてそれが彼をたまらなく不安にしていたらしい。タオルを鷲づかみにして額から両眼を何遍も何遍も拭きながら、そうした苦衷を同僚にもらしたというから、その懊悩の姿は眼に見えるようだ。何かの固定した恐迫観念が脳神経にコビリ付いていたのだろう。すでに昨秋帰朝した時以来、友人の語る処によると、数多の奇行が目立つので、友人は無論のこと、庭球協会の幹部中にも派遣反対の意見は強かったという。それがどういうわけか、恐らく当人自身も気分を転換するに好いと考えたかも知れぬ、箱根丸に乗って了ったのである。