일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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しんぴこんちゅうかん

神秘昆虫館

国枝 史郎

国枝 史郎의 神秘昆虫館(しんぴこんちゅうかん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 105,803자 · 213화면

아오조라 문고

とその中の一人であるが、スルスルと大岩の頂きへ登った。見上げた小一郎の眼の上に、わずか一間の間隔を置き、その武士の穿いている野袴の裾が、風に煽られて靡いている。蹄の聞こえる方角を、じっと眺めているようである。もしその武士が振り返り、大岩の蔭へ眼を落としたら、一式小一郎と君江の姿を、見て取ることが出来ただろう。

「平林平林、何をしている。さあさあ早く追っかけよう」大岩の向こうから声がした。一ツ橋の武士達が、そこに五、六人いるようであった。

「むやみと追っかけても仕方がない」岩の上の武士が云い返した。「それに俺には不思議でならない。蹄の音が軽すぎるよ。人間を背にして走っている、馬の足音とは思われない」

「うむ、なるほど、そうだなあ」岩の向こう側からの声である。「ちょっとこいつは可笑しいぞ」

するともう一人の声がした。

「馬だけ放して小一郎奴は、どこかに隠れているのではないかな」

つづいてもう一人の声がした、「オイこの地面を見るがいい。草があちこち千切れている。どうやら馬が食い千切ったようだ」

「ではこの辺で小一郎奴は、馬を休ませたに相違ない」岩の上の武士の声である。