후리가나로 읽는 일본 고전
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まつりのよる
祭りの夜
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 祭りの夜(まつりのよる)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 9,781자 · 20화면
裏口の戸がいきなり開いて、お留さんが顔を出した。
「うちでしたか。丁度よかった。奥さんが、遊びにいらっしゃいと言っていますよ。お酒も御馳走もありますよ。お祭りだというのに、河野さん、勉強ですか。いらっしゃいよ。すぐにね。」
言うだけ言っておいて、返事もきかずに、お留さんは帰っていった。――いつも、たいていそうなんだ。私に対してだけかも分らないが、あまり返事など聞こうとしない。田岡政代の家で働いてる四十歳余りの女で、政代のことを奥さんと呼び、政代は彼女を、お留さんと呼んでいるが、二人がどういう関係か私は知らない。
私は煙草を吸い、焼酎をのみ、帯をしめなおし、そんなことで時間を少しつぶして、出かけていった。裏口から出て、すぐそこの竹垣の木戸をあけると、政代の家の勝手口で、風呂場をまわってゆけば、縁側に出る。もとは或る呉服商の隠居所だったとかで、石や植込の多い庭にだかれてるしゃれた平家だ。
政代は薄化粧して、炬燵にあたっていた。梅の大模様を散らした炬燵布団に、手先だけをちょっと差入れて、くりこしの深い着物に更に肩すべりに羽織をひっかけ、洋髪の襟足をすっきりと見せて、片膝くずしに坐ってる彼女は、奥さんともつかず、お妾さんともつかず、お上さんともつかない中途半端な感じだった。