일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

吉川 英治의 私本太平記(七)(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 330,262자 · 662화면

아오조라 문고

なにしても、ここは尊氏の僥倖というしかない。――彼の乗船、およびそのほか大小の兵船は、乱離な影を明石海峡にみだしながら、ひとまず播州室ノ津の港へさして落ちたのだった。

僥倖といえば、海上での風向きも、その日は、尊氏に倖いしていて、「梅松論」には、

お座ふね

辰ノ刻(午前八時)に出さる

俄に、西風吹きけり

是はたつと云つて

追手なりければ

寅ノ刻(翌・午前四時)

ばかりに室ノ津へ御著

とあり、また。

もし順風なくば

一期の御浮沈たるべきに

ひとへに

神仏の御加護也とて

下御所(直義)には

渡海のあひだに

舎利ノ御剣を

龍神へ向て海底に沈らる

と書いている。これでみても尊氏以下の兵庫脱出の困難さが、いかにあぶないものだったか、想像以上なものだったろう。

それとまた、あの不屈な直義すらが、その僥倖に感謝するの余り、自己の一剣を波間へ投げて、船上から龍神を拝んだという一事などもおもしろい。

新田義貞が鎌倉攻めのさいに稲村ヶ崎で剣を龍神へむかって投じたという、いわゆる“龍神伝説”は、その地形条件などからも、つとに否定されているが、これによると、当時の武将間には(いや、民間一般にも)ひとつの龍神信仰といったようなものがあったことだけは是認しなければならなくなる。