후리가나로 읽는 일본 고전
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
吉川 英治의 私本太平記(七)(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 330,262자 · 662화면
久子は、いちど良人を寝所へ送ってから、いつものように子供らが枕をならべている対ノ屋のわが寝間へひきとっていた。が、余りの冷えに、また起きて、みずから納戸のうちの夜具を一枚かかえ、ふたたび正成の寝所へもどって、そっと寝顔をのぞきながら、ふんわり、それを良人へ着せかさねた。
そして、それなり久子はそこにいた――
といっても、暁までは、つかのまであった。
長い生涯も短いといえばいえる。短夜のさらに短い一ときも、あるいは、百年のちぎりを一瞬のかたらいに込めて夫婦の二世までをその純朴な情愛の仲ではかたく信じ合えていたかもしれない。
情痴な、奔放な、また荒婬な世の男女の性戯だけが、ふかい性の真髄味を知るものとはいえないようだ。
かたちのうえでは至って艶色に遠く、心のあやでも、無表現としか見えないような仲でもそのふたり以外には窺いえない別な性の神秘と高い感激とが人知れず愛持されていただろう。開放的な男女が性を遊戯にして踏みしだいているのとちがって、素朴な男女のそれの方がむしろ絶対境な秘園の同化と甘美な泉を汲んでいたかもしれなかった。よく唐宋の詩人などが歌いあげている――比翼のちかいとか、同穴のちぎり、鴛鴦の睦み――などという言葉にあたる永遠をかけた不変の愛とは、つまり遊戯の中にはないものである。