후리가나로 읽는 일본 고전
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
吉川 英治의 私本太平記(三)(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 222,108자 · 446화면
それは、藤夜叉の左の眉から眼の下へかけての、うすい痣だった。
高野川の落ち口へ身を投げたあの晩に、早瀬の岩にでも、面をぶつけていたのであろう。初めて、兼好が見たときから、擦過傷らしい痕は気になっていたが、いま見ると、眼は無事らしいが、可惜、瞼のあたりが薄紫に変じている。
いや、可惜とするのは、つい浮かぶ通念にすぎないことで、男心の裏から観ると、それはすぐ男の邪念に結びつく妖美な極印を花の貌に一ツ加えたものといえなくもない。兼好もふと想像する――。かかる神の悪戯をうけたこの女性が、死ぬべきところを助かったがため、かえってこれから先の半生を、どんな男どもの手から手へと、業の深い欲海の波間を、浮き沈みの目に会わされて行くことであろうか、と。
「……あ。たれか門に」
そのとき、庵の外で、訪れがしていた。
彼女はあわててそこを立ったが、どんな客にも、客を恐れて人前に顔を出さない藤夜叉は、すぐ裏口の外へ出て、
「命松さん、命松さん」
と、助けを呼ぶように、さがし廻った。
お客と聞いて、命松丸は、庵の表へ廻って行ったが、
「なあんだ、お藤さん、何をあわてているのさ」