후리가나로 읽는 일본 고전
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
吉川 英治의 私本太平記(三)(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 222,108자 · 446화면
「さ、旦那。ご褒美の金を下ッせい」
――ぎゃッ、と老猿の声がしたのはもう眼の前のことではない。とたんに陶山はその老農夫を断崖の空へ向って蹴とばしていたのである。それを血まつりとして、陶山は部下五十のそそけ立ッた影へ烈しく手を振った。
「それっ、分れろ。城兵の眠りをさまさぬように、篝の火を盗んで、手ばやく諸所へ油玉をぶり撒けぶり撒け」
そして、彼と小見山次郎とは、さらに上の、天皇の行宮を見つつ、四ツん這いに這い忍んで行ったのだった。
「たれだッ」
行宮の外の柵守らしい。
陶山と小見山の二人は、ぎくとして、いちど岩蔭に潜みかけたが、
「おおっ、見廻りでおざる」
と、風の中から、不敵な声を作って答えた。
「われらは大和柳生勢の兵ですが、かかる夜こそ、怠るなと申しつかッて諸所見廻り中の者でおざる」
「やあ、ご苦労」
仮屋の蔭で、眠たげな返辞がする。
二人はすっと通りぬけた。行宮にあてられている上ノ堂は、広前もないほどな一平地でしかない。山頂だけに、小雨をもった烈風が蔀や廂を吹きなぐり、仮宮にしろ、これが天皇の御寝ある皇居かと怪しまれるほどだった。
「火ノ用心!」
小見山次郎はわざと二度ほど声を張りあげた。