후리가나로 읽는 일본 고전
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くうそうにちろく
空想日録
寺田 寅彦
寺田 寅彦의 空想日録(くうそうにちろく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,488자 · 21화면
実験科学では同じ実験を繰り返すことができるからまだいいとしても、天然現象を対象とする科学では、一度取り逃がした現象にいつまためぐり会われるかもわからないという場合がはなはだ多い。そういう場合において、学者は現象の起こっている最中に電光石火の早わざで現象の急所急所に鋭利な観察力の腰刀でとどめを刺す必要がある。そうすれば戦いのすんだあとで、ゆるゆる敵を料理して肉でも胆でも食いたければ食うことができる。
実験的科学でも実は同様である。甲が同じ事を十回繰り返し実験しても気がつかずに見のがす事を乙がただ一ぺんで発見する場合はしばしばある。
こういう早わざをしとげるためには、もとより天賦の性能もあろうが、主として平素の習練を積むことが必要で、これは水練でも剣術でも同じことであろうと思われる。
学生の時分に天文観測の実習をやった。望遠鏡の焦点面に平行に張られた五本の蜘蛛の糸を横ぎって進行する星の光像を目で追跡すると同時に耳でクロノメーターの刻音を数える。そうして星がちょうど糸を通過する瞬間を頭の中の時のテープに突き止めるのであるが、まだよく慣れないうちは、あれあれと思う間に星のほうはするすると視野を通り抜けてしまってどうする暇もない。