후리가나로 읽는 일본 고전
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はこねのやま
箱根の山
田中 英光
田中 英光의 箱根の山(はこねのやま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 16,963자 · 33화면
と傍にやってきた一郎の身体を、街道の左手の石垣の上に抱き上げ、眼下の須雲川の渓谷を俯瞰させてやった。渓流に沿った狭い盆地に、青い色紙の大きさにしか見えぬ田畑、燐寸の軸のような電柱、玩具のような変圧塔、銀の蜘蛛の糸に似た電線が微かに光り、その下には須雲川の渓流が、無言のまま激しい水沫を上げて、一寸ほどの川幅で流れている。
「ア、ほんと、凄いねッ」一郎は暫く驚いた顔で眺めていたが、吹きまくる烈風に、直ぐ顔が蒼ざめ、唇も紫色に変って行った。いっそ、そのまま抱いて行ってやりたい気持もしたが、百里を行く者は九十九里を以て半ばとするのだと、最初の計画を遂行するのに、もう偏執じみた気持にさえなっていて、「さあ行こう、一郎、もうじきだよ」
こう促して抱き下ろし、次第に重く感じられる子供の手を引ッぱりながら歩きだした。すでに時計をみれば二時を廻っていて、すくない宿屋の朝飯を食べたきりで、三里ほどの山路を歩き、胃の腑は嘔吐を感じるほどの空腹だったし、足の裏と膝頭がほてって来て、少し休むと、動かすのも痛いほどなので、一郎の疲労のほども思いやられたが、心の弱いバカな親父は是が非でも歩き通させてやるのだと、一種の快感さえ感じていた。