후리가나로 읽는 일본 고전
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むらさきのびん
紫の壜
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 紫の壜(むらさきのびん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,802자 · 24화면
戦地で私が育くんできた淡い恋情は、現実的なものに変質していった。私は多少無理しても彼女の許へ通うようになった。彼女の方から私に勘定を請求はしなかった。――店の常連には、もう年配の富裕な人が多いようだった。
そのうち、私の事情に変化が起った。私は応召前、ある医療機械店に勤めていたのだが、帰宅してみると、その店は罹災していて、まだなかなか復興の見通しはつかないらしかった。母と妹は戦時中、他家の手伝いや手内職でどうにか過してきて、終戦後からは、ささやかな闇物資の仲次ぎをやっていた。私は就職口も思わしいものがないところから、当分のうち、その内緒の家業を手伝うことにした。思わぬ利得があることもあれば、全然だめなこともあった。――そういうところへ、小樽の伯父から頻繁に速達便が来るようになった。
――私の思わしい就職口もなかなか見つからないだろうということ。妹ももう婚期すぎと言ってよい年頃だから、その嫁入り仕度のことも考えておかねばなるまいということ。東京は衣食住とも不自由らしく、殊に、知人の罹災者一家を二階に同居さしてる由だから、ゆっくり休らう余裕もあるまいということ。