후리가나로 읽는 일본 고전
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ぜつえんたい
絶縁体
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 絶縁体(ぜつえんたい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 18,752자 · 38화면
或る日の午後、市木さんは竹垣を跨いでやって来て、珍らしいことには私へ声をかけた。出ていってみると、市木さんは縁側近くに突っ立っていた。
「ちょっと来て下さい。そして酒を一杯つき合って下さい。どうも面白くない奴が来ましてね、酒がまずくなった。」
市木さんは昼間から独酌してることも稀ではなかったが、私がその席へ招かれたのは初めてだった。ところが、行ってみると、一人の来客があった。洋服を着た五十年配の肥った男で、頭髪を短く刈りこんでいて、小会社の重役かなんかのように見えた。面白くない奴とはこの客だな、と私はとっさに感じた。そしてなんだか議論の中途らしい空気だった。
その客は、市木さんの亡妻の縁故者で、土居というひとだった。市木さんは私に杯をさしながら、ぶっきら棒に言った。
「土居さんはね、わたしが、弘子の葬式もりっぱにせず、ぞんざいに扱ったと、疑っておられるようです。あなたからひとつそうでないことを証明してやって下さい。」
市木さんはもう喧嘩腰だった。私は酒の相手に招かれたのではなく、実は証人として呼びつけられたもののようだった。
土居さんは鼈甲縁の眼鏡の奥から眼玉を光らせながら、落着いた調子で弁明した。