후리가나로 읽는 일본 고전
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ろうじゅんさ
老巡査
夢野 久作
夢野 久作의 老巡査(ろうじゅんさ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 8,237자 · 17화면
その巡廻の一足一足毎に……この地域に事なかれかし……とドンナに誠意を籠めて祈ったことか。そうして又、それが泥棒一つ捕まえた経験のない無能な彼の、心中からの……ただ一筋の悲しい願いでなければならぬ事を、彼自身に何度、自覚したことか。
しかし睦田巡査はまだ二十歩と行かないうちに、タッタ今踏み付けた奇妙な吸殻の事をキレイに忘れてしまっていた。まん丸い背中を一層丸くして、外套の頭巾を深々と引下して、薄暗い角燈の光りの中に、どこまでもどこまでも続くコンクリート壁や、煉瓦塀や、生垣の間をトボトボと歩いて行った。
寒い寒い星の夜であった。
その翌る朝であった。
彼が踏み躙って行った幸運が、ソレだけの悪運となって彼の頭上に落ちかかって来たのは……。
彼の受持区域内でも、屈指の富豪と眼指されている倉川男爵家の別邸に二人組の強盗が入って、若い、美しい夫人と小間使を絞殺し、一人の書生に重傷を負わせ、夫人所有の貴金属、宝石類と、現金二百余円を奪い取って逃走した事が、夜明けまで震えていた台所女中によって、分署まで報告された。そうしてその兇行の推定時刻が、彼の巡廻時刻とピッタリ一致したのであった。