후리가나로 읽는 일본 고전
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せいかぞく
聖家族
堀 辰雄
堀 辰雄의 聖家族(せいかぞく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 16,074자 · 33화면
何だかその青年に一度どこかで会ったこともあるような気がし出したから。そう言えば何処かしら死んだ九鬼に似ているところがあると彼女は思った。そしてその類似が彼女に一つの記憶を喚び起した。
数年前のことだった。軽井沢のマンペイ・ホテルで偶然、彼女は九鬼に出会ったことがあった。その時九鬼はひとりの十五ぐらいの少年を連れていたが、彼はその少年にちがいないと思い出した。――その快活そうな少年を見ながら、彼女がすこし意地わるそうに、「あなたによく似ていますわ。あなたのお子さんじゃありませんの?」そう言うと、九鬼は何か反撥するような微笑をしたきり黙りこんでしまった。その時くらい九鬼が自分を憎んでいるように思われたことはない……
河野扁理は事実、その夫人の思い出のなかの少年なのだ。
扁理の方では、勿論、数年前、軽井沢で九鬼と一しょに出会ったその夫人のことを忘れている筈はない。
その時、彼は十五であった。
彼はまだ快活で、無邪気な少年だった。
九鬼が夫人をよほど好きなのではないかしらと思い出したのは、ずっと後のことだ。その当時は、ただ九鬼が夫人を心から尊敬しているらしいのだけが分った。