일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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きくやしき

菊屋敷

山本 周五郎

山本 周五郎의 菊屋敷(きくやしき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 36,620자 · 71화면

아오조라 문고

「どなたかお忘れだったのでしょう」

「いいえお嬢さまへ宛てたお文でございますよ」

そう云って渡された封書を手にして、志保はひらめくようにいつぞやの実朝の歌を思いだした。それはつい今そのときのことを回想していたからかも知れない、――あのときの方だ、という言葉が反射するように頭へのぼった。表には自分の名が書いてあるけれど、署名はどこにもみつからない、

「……まあ、どなたからでしょう」

志保はさりげなく呟やきながら、お萱に顔を見られないようにして家へあがった。

その文を披いたのは夜になってからだった。そのまま破いてしまおうかとずいぶん迷ったあげく、やはり披く気持になったのである、あのときの手と同じものかどうかはわからないが、しっかりとしたみごとな筆跡で、墨色もきわめて美しい、志保は宛名の文字を暫らくみつめていたが、やがて封を切ってしずかに読みはじめた。……果して察しのとおりだった。それは実朝の歌を書いてよこした同じ人で、手紙はまず曾ての無礼を繰り返し詫びる文字から始まっていた。

――自分もまだ年が若く、いちずの気持に駆られてあんなことをしたが、しかし決していたずらとか嘲弄などという意味はなかった、金槐集の歌を書きぬいたのは、あれが日ごろ自分の愛誦するものであり、あのときの心をいかにもよく伝えられるように思えたから