후리가나로 읽는 일본 고전
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山 清의 落穂拾い・犬の生活(おちぼひろい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 239,741자 · 486화면
坑内に入って真黒になるよりは、この方がまんざらでもないのかも知れなかった。順吉は親爺さんがあまり口汚く云うので、聞き辛い気もしたし若者が気の毒にも思えたが、病室の人は誰もこの二人のことをことさら気にするふうでもなかった。おすぎも隣り同士のよしみで、なにかと親爺さんの面倒を見たり、また若者にも親切に振舞っていた。おすぎの気軽なこだわりのない様子を見ていると、順吉は柔らいだ気持をひきだされた。些細なことが私たちを慰める。なぜなら些細なことが悲しみの種になるから。順吉はこれまでにこんな気持の落着いたことはなかったような気がしている。
隣りの親爺さんはふだんは謙遜な人で、順吉たちと口をきくときは人が変ったように丁寧であった。同じ東京生れなので、昔の東京の思い出話をはじめると、順吉との間には話が尽きなかった。健康保険から入院の見舞金をもらったときには、親爺さんはひどく恐縮した。おすぎに頼んで早速東京の妻子の許に送金した。
「齢はとりたくないものですね。気ばかりで躯がいうことをききません。そろそろ東京へ帰ろうかと思っているんです。」
と、親爺さんは云った。
ある晩、病院の隣りの芝居小屋にめずらしく地方廻りの歌舞伎芝居がかかった。