후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
らん
蘭
山本 周五郎
山本 周五郎의 蘭(らん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,247자 · 21화면
一
一
秋の日はすでに落ちていた。
机にむかって筆を持ったまま、もの思いにふけっていた平三郎は、明り障子の蒼茫と暗くなっていくのに気づいて、筆をおきながら、しずかに立って窓を明けた。
北に面した庭には女ダケの荒れたやぶとまだ若木のスギ林がひろがっている。その樹下のもやのたちこめたような暗がりから、障子の明く音におどろいたのだろう、一羽のウズラが荒ら荒らしい羽音をたてて飛びたった。すると樹下の暗がりが、いっそう暗くなるように思えた。
「そうだ、会ってはっきり云おう」かれは低い声で、そうつぶやいた。「……もう、そうしても早すぎはしない」
その時の印象はずっと後になるまで、あざやかに覚えていた。たそがれの鬱々としたスギ林も、ひっそりと垂れていた女ダケの葉むらも、飛びたったウズラの荒ら荒らしい羽音も、そして、ひとりごとのようにつぶやいた自分の低い声も……
平三郎はその明くる日、須川生之助をおとずれた。生之助は、庭で蘭の手入れをしていた。さわやかな日光が、やわらげた黒土をぬくぬくと暖め、やや膚寒い風が、生垣のイバラの枯葉をふるわせていた。ここのほうが話しよい――平三郎はそう思った。