후리가나로 읽는 일본 고전
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ぐびじんそう
虞美人草
夏目 漱石의 虞美人草(ぐびじんそう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 198,559자 · 401화면
と云いかけて額を持ちながら、首だけ後へ向けた時、細長く切れた欽吾の眼は一度は母に落ちた。やがて母から遠退いて戸口に至ってはたと動かなくなった。――母は気味悪そうに振返る。
「おや」
天から降ったように、静かに立っていた糸子は、ゆるやかに頭を下げた。鷹揚に膨ました廂髪が故に帰ると、糸子は机の傍まで歩を移して来る。白足袋が両方揃った時、
「御迎に参りました」と真直に欽吾を見上げた。
「鋏を取って下さい」と欽吾は上から頼む。顎で差図をした、レオパルジの傍に、鋏がある。――ぷつりと云う音と共に額は壁を離れた。鋏はかちゃりと床の上に落ちた。両手に額を捧げた欽吾は、机の上でくるりと正面に向き直った。
「兄が欽吾さんを連れて来いと申しましたから参りました」
欽吾は捧げた額を眼八分から、そろりそろりと下の方へ移す。
「受取って下さい」
糸子は確と受取った。欽吾は机から飛び下りる。
「行きましょう。――車で来たんですか」
「ええ」
「この額が乗りますか」
「乗ります」
「じゃあ」と再び額を受取って、戸口の方へ行く。糸子も行く。母は呼びとめた。
「少し御待ちよ。――糸子さんも少し待ってちょうだい。