후리가나로 읽는 일본 고전
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とんぼがえり
蜻蛉返り
佐藤 垢石
佐藤 垢石의 蜻蛉返り(とんぼがえり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 3,408자 · 7화면
私は、呑んべえであるから、酒の肴にはいつも苦労する。うるか、惣太鰹の腸の叩き。まぐろのいすご、鱸の腹膜、このわた、からすみ、蜂の子、鮭の生卵、鰡の臍、岩魚の胃袋、河豚の白精など、舌に溶け込むようなおいしい肴の味を想い出しては、小盃の縁をなめるのである。
そのうちでも、からすみは大好物のうちに属する。長崎からきた上ものならば、もう一本といって女房にせがみ、それでは養生になりますまい、と、たしなめられることさえある。しかしながら愛好する肴を舌にのせたとき、陶然とした気持ちは、なにごとにも替え難い。
からすみは、鰡の卵から製造するのであるのは、誰も知っている。卵の方は、あれほど嗜酒の徒から賞味されるにも拘わらず、親の鰡の方は、なんであんなにも厄介もの扱いにされるのであろう。想えば、甚だ気の毒に堪えないのだ。
鰡の味に、あまり人が親しまないというのは、料理法が一般に知られていないからであるかも知れない。一体、東京湾の奥深くの江戸前のように浅い海や、利根川とか那珂川とか霞ヶ浦、涸沼など淡水へ遡り込んだ鰡と、江の島まわりや小田原海岸、南伊豆のような外海で漁れる鰡とは、味が異なるのである。